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湾曲弓によるJ.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータ全集

湾曲弓によるJ.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータ全集

BVCE   38015/6
J.S.バッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全集

・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番ト短調BWV.1001
・無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番ロ短調BWV.1002
・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番イ短調BWV.1003
・無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番二短調BWV.1004
・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番ハ長調BWV.1005
・無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調BWV.1006

ヴァイオリン:ルドルフ・ゲーラー(カーヴド・ボウによる)
録音:1998年7月

この演奏の一番の特徴は、カーヴド・ボウ(curved bow)を使用したところにあります。シュヴァイツァーとゲーラー
それは、いわゆる古楽器の逆反り弓の湾曲度を大きく超えたもので、左の画像のようなかたちをしています。そして、通常の弓のように、弓の毛の張り具合を回転式のネジで調節するのではなく、可動式のレバーで全く自由に張ったり緩めたりできる構造を取っているとのことです。
弓の毛の緩め具合によって3重音、4重音を出すことが可能になったのです。
何故このような弓を考案したかというと、このバッハの無伴奏の曲集の中には3重音、4重音が頻繁に出てきますが、当時の演奏技術では、それらをできるだけ同時に弾こうと乱暴に寸断して演奏するか、上行・下行の落ち着かないアルペジオとして演奏するしかなかったからなのです。

それにいたたまれなくなって真剣に弓の改良に取り組んだのが、何とかの有名なシュヴァイツァーだったのです。
アルベルト・シュヴァイツァーはアフリカの赤道直下の国ガボンに生涯を捧げた医学者としてまず知られていますが、神学者、そしてオルガニストとしても活躍したバッハ研究家でもありました。
そのシュヴァイツァーが、上記のような演奏水準にいたたまれなくなり、弓の改良に取り組んだのです。気の遠くなるような調査と幾度もの失敗を重ね、実に33年の月日をかけてカーヴド・ボウを完成させたと言います。ですから、決してゲテモノとして片づけられるものではなく、バッハへの深い愛情、そして理想の演奏への飽くなき探求心が生んだものと言えるでしょう。(現在のカーヴド・ボウは湾曲度を少なくし、運動性能を上げているそうです)

実際パルティータの2番のシャコンヌなどを聴きますと、確かに独特のものがあると思います。和音が同時に鳴り響きますので、ヴァイオリンがまるでオルガンのように響きます。ですから和音が続くところは荘厳な雰囲気を感じることができると思います。
一方、和音と速いパッセージが混在するようなところは、毛の張りを調節しながら重音と単音を弾きわけなければならず、どうしてもややもたついたり、表情が付かずに単調に聴こえてしまうきらいがあります。
しかし、(演奏者のルドルフ・ゲーラーについてはどのような経歴の持ち主かはわかりませんが)この録音がライブであることを考えますと、この演奏は大健闘だったと言えるでしょう。

作曲した当時のバッハの頭の中では、このように同時に和音が鳴っていたのでしょうか。一度この独特な響きを是非聴いてみられてください。

因みに、パルティータ2番のシャコンヌはブラームス(左手)やブゾーニがピアノ用に編曲しているものがありますね。こちらの響きと比べてみるのも面白いかもしれません。