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ヴァイオリンを選ぶときに注意すること、相談相手の言葉 3

インテルメッツォの第25回です。

前回は脱線しましたので、また本題に戻ります。 「相談したときによく聞く、真に受けてはいけないアドヴァイス」 をお送りしたいと思います。

その言葉を真に受けて「解釈」を間違うと、いつまでも迷走飛行を続けなくてはならなくなります。 くれぐれもお気を付け下さい。

◆ 音色が少し暗い(明るい、軽い、重いetc)んじゃない
◆ もう少し柔らかい(硬い、明るい、軽いetc)音の楽器の方が君には合うと思うよ

音の好みは十人十色です。 また、音を言葉で表現するほど難しいことはありません。

音を言葉で表現したときには、使用する言葉に対しての共通の認識が無いと、行き違いがおこることが少なくありません。

自分が良い、好きだと思っている楽器を、先生、目上の人、友達など回りの人間から けなされたり、自分の感じている印象と全く違うことを言われたりすると、 傷ついたり、自分の感覚が人とは少し違うのではないかと戸惑い思い悩んだりすることも 多いと思います。

しかし、楽器に対してそのような感想を持ったのは紛れも無い自分自身であり、それが現在の自分の気持ちを表わしていることには変わりありません。
違いがわからないのに、わかったふりをすることはありませんし、また好きでもないものを無理して好きになる必要も無いでしょう。

現在の自分に正直になることが、まず必要だと思います。

ただ、成長とともに、わかっていく部分、好きになっていく部分というものは あるとは思います。

例えば、「渋くて、どうも変な味だな」と感じていた赤ワインが、飲んでいくうちに 「美味しい」と感じるようになるというような、自分自身の変化です。

多分、そこに至るまでには、 とにかく色々な赤ワインを飲んでみる、 飲むときの温度を調節してそのワインの適温を見つける、 料理との相性を考えるなどの、数々のトライアルがあるはずです。

もちろん、それでも全ての赤ワインが好きになる訳ではありません。 依然として「好き嫌い」というものは存在するはずです。 でもそれはそれで一向に構わないのです。全く困りません。この境地に達すると、もはや、値段や人の評価に左右されず、気楽に、そして 直感的に自分の好きなワインを見つけ、理屈抜きにそれを楽しめるようになるはずです。
楽器ともそういう関係になれれば良いのではないでしょうか。

◆ ○○さんはもっと良いものを安く手に入れたわよ。
◆ ○×さんのは、同じ値段でこれよりずっと良いよ。

確かにそういう巡り合わせの方もあるでしょう。

しかし、手工弦楽器は1点限りのものですから、コンディションや、つくり、音と たとえ同じ製作者の、同じ時期の製作のものであっても、全く同じというわけにはいきません。 また、価格については、為替レートの変動ひとつとっても変わる要因になります。 ですから、○×さんと同じようなものを探したい。 ○○さんが手に入れられたのだから探せばもっと安いものがあるはずだと言っても、必ずかなうものではないのです。
むしろ、他人のものは他人のものとして、現在候補に挙がっている楽器の中から、自分にとって最良の楽器を選び出すのだと強く意識できないと目標を見失います。

その他、他の人に相談して困った体験をお持ちの方は、是非、こちらまでお寄せ下さい。

次回の更新は7月中旬を予定しております。ご期待ください。