若き日のサルヴァトーレ・アッカルド|CD

若き日のサルヴァトーレ・アッカルド CD

IDIS 6627
若き日のサルヴァトーレ・アッカルド

パガニーニ:
魔女たちの踊り
パイジェッロの「うつろな心」による変奏曲
常動曲
ヴァイオリンソナタ ホ短調Op.3の6
祈りのソナタ( モーゼの主題による変奏曲)
ロッシーニの「こんなに胸騒ぎが」による変奏曲
「ゴッド・セイヴ・ザ・キング」による変奏曲

ヴァイオリン:サルヴァトーレ・アッカルド
ピアノ: アントニオ・ベルトラミ
録音:1959年、1960年(MONO)

サルヴァトーレ・アッカルドは1941年、イタリア、トリノ生まれのヴァイオリニストです。これはそのアッカルドが18歳のときの録音です。
アッカルドの生演奏に接したことはないのですが、1966年にN響とブラームスの協奏曲を弾いた映像をTVで視た記憶があります。その時の印象は、残念ながらあまり良いものではありませんでした。何か楽器が鳴らないというか、弓を押し付け過ぎているのでしょうか、全ての音がつぶれていたように思いました。

アッカルドは1955年にヴィオッティ国際音楽コンクールで3位入賞。さらに、1956年にジュネーヴ国際音楽コンクール、1957年イタリア放送の各コンクールで優秀な成績を上げ、さらに1958年にはパガニーニ国際コンクールを17歳の若さで第1位になります。それで『パガニーニの再来』とまで言われたのです。
この録音はそういったアッカルドが破竹の勢いのときに行われたものですから、アッカルドの真価が余すことなく捉えられています。

テクニックのキレの良さはもちろんのことなのですが、イタリアの歌手のような朗々たるカンタービレには心底感動させられます。1966年来日時の音とは全く違っていますね。
パガニーニというとヴァイオリンの超絶技巧ばかりが目立ちますが、歌ごころが十分に表現されないと実はパガニーニでは無いのです。
G線だけで奏される祈りのソナタ(モーゼの主題による変奏曲)の滑らかで深い響き、ロッシーニの「こんなに胸騒ぎが」による変奏曲での甘い音色、歌い回しに、きっとどなたもメロメロになることと思います。そして、パイジェッロの「うつろな心」による変奏曲や「ゴッド・セイヴ・ザ・キング」による変奏曲での左手のピッツィカートの鮮やかさ、常動曲の軽やかで正確なスピッカートに舌を巻かれることと思います。
パガニーニの楽曲を演奏する方はこのCDからエッセンスを吸収するべきです。必聴のCDだと思います。

楽器については以前ご紹介した書籍 『アッカルドヴァイオリンを語る』にパガニーニコンクール優勝後にPoggi から Gagliano、そしてGudagnini に買い替えたと記載されていましたので、ちょうどそれがこの録音の時期と重なると思います。

録音は1959、60年のモノラル録音で、強い音が割れてしまう部分もありますが、2011年9月のマスタリングということもあり、レンジは狭いながらもアッカルドの輝かしいヴァイオリンの音色、滑らかなカンタービレはよく録れていると思います。上記パガニーニの真髄を味わうにあたっては過不足は無いと思います。