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プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲 ・CD|パヴェル・ベルマン

パヴェル・ベルマン CD プロコフィエフ、ヴァイオリン協奏曲

Daynamic / CDS 676
プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲 パヴェル・ベルマン

プロコフィエフ:
ヴァイオリン協奏曲第1番
ヴァイオリン協奏曲第2番
2つのヴァイオリンのためのソナタ

ヴァイオリン:パヴェル・ベルマン
アンナ・ティフ(2つのヴァイオリンのためのソナタ)
アンドレイ・ボレイコ指揮 スイス・イタリア語放送管弦楽団
録音:2010年10月

パヴェル・ベルマンはモスクワ生まれのヴァイオリニスト。彼の父親はあの偉大なピアニスト、ラザール・ベルマンです。5歳の時、ポーランドのヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール及び、リピンスキ国際コンクールに入賞。17歳でパガニーニ国際コンクールで2位となり、1990年、インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールでゴールド・メダルを得るという華々しいコンクール歴は親の七光りではないことの列記とした証明でしょう。インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールでは、パガニーニのカプリスとイザイのソナタの最も優れた演奏に与えられるインディアナポリス賞も受賞しています。その後1992年ニューヨークのジュリアード音楽院でドロシー・ディレイ氏の指導を受けることになり、またアイザック・スターンとも出会います。その後は世界各地で演奏活動、レコーディングなどと活躍しています。

ロシア生まれ、そしてラザール・ベルマンの息子というと、いわばお国もののプロコフィエフにおいて濃厚な演奏を想像していたのですが、とてもすっきりと洗練された演奏でした。その要因は透明感の高いヴァイオリンの音色にあるのではないかと思います。歌うところも重くべたべたとならずに、さらっと進んでいきます。もともとプロコフィエフはロシア音楽とはいえ、とても洗練された作曲家ですから、このようなアプローチは正解でしょう。でもパヴェル・ベルマンがチャイコフスキーだったらどのように料理するのか聴いてみたくなりました。

楽器はミラノのペーテルロンゴ財団から貸与されているというStradivariですが、何とその楽器はナポレオンが所有していたもので、Berthierというのは、その後この楽器をスペイン戦争の戦利品としてナポレオンから与えられたフランス軍司令官アレクサンダー・ベルチエルの名から取っているのです。
2つのヴァイオリンのためのソナタの共演者アンナ・ティフもStradに匹敵する名器Carlo Bergonzi 1739 “ex Misha Piastroを使用していますからこの曲も極上の響きが聴けると言えるでしょう。

共演のオーケストラ、スイス・イタリア語放送管弦楽団もまた透明感の高い繊細な伴奏でソロを引きたてています。ただ2番の終楽章の最後がもたつき気味に聴こえたのがちょっと惜しい気がいたしました。
録音はホールの美しい残響を伴いながらも大変見通しの良い音場がスピーカーの間に広がります。低音楽器の豊かでソフトな音の広がりは良いホールでの実演を彷彿とさせられます。

使用楽器:Antonio Stradivari 1716 “Berthier ex-Napoleon”(パヴェル・ベルマン)
Carlo Bergonzi 1739 “ex Misha Piastro”(アンナ・ティフ)