バイオリン(ヴァイオリン)販売・専門店・弦楽器サラサーテ・東京(渋谷)から25分

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Noriyuki Matsushita の Cremona 便り 第三回

第3回「新天地」

無事クレモナにたどり着いたまではよかったのですが、その後の私を待ち受けていたのは、異なる文化、習慣などとの闘いでした。
なんとか片言のイタリア語で安いアパー トを見つけて新しい生活をスタートさせましたが、頭と体はまだ日本から完全には抜 けきれておらず、はじめのころは何をするにもうまくいかないといった日が続きました。

ここにはヴァイオリン作りを勉強するために来たのだから早くその環境を整えたいと思っても、それ以前の問題で、生活することもままならないといった感じが続 き、焦りばかりが先行していきました。
今にして思えば、これは異国に初めて住むすべての人が経験しなければならないこ とだったのですが、それが理解できるまでにはかなりの時間が必要でした。

しかしイ タリアの生活環境に慣れてからは物事がことのほかスムーズに進み、出だしのつまずきを十分に取り戻すことができました。

仕事の面でも運良く優秀な4人のマエストロ に師事でき、2年間の修業で自分の楽器がどんどん変化していくのを実感できました。 私は東京で5年間働いていたので基礎が身についており比較的早くクレモナのスタイ ルをマスターすることができたようです。

そして独立したのが98年。
それと同時に彼女の真紀と結婚し、居も改めクレモナでの第二の生活をスタートさせました。
ようやく独り立ちした 私は、これによって自分の理想やこだわりだけで仕事ができる環境 を手に入れ、ますます製作にのめり込んでいきました。

翌年には待望の第一子(女の子)が誕生し「琴」と命名しました。この名 は、私の最初の師が中国出身でヴァイオリンのことを「小提琴」と書くことからとった ものです。

現在、この愛妻子と共にクレモナでの充実した日々を送っています。

かなりつらい時期もあった7年間の修業時代が、今ではずいぶん昔のように感じられます。

それは自分が今の自分をこれまででいちばん気に入っているからかもしれません。そして今から何年か後、また同じ思いができるようさらに努力を続けたいと思います。妻のため、 子供のため、そして何よりも自分のために。

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