モダン、ジャーマンチェロ August Richers 1893 Berlin のご案内
販売価格:3,080,000円(税込)
ドイツ、ベルリン製のモダンチェロ。この年代でこのように極めて健康状態が良いチェロは希少と言えるでしょう。
August Riechers(アウグスト・リーヒャーズ)は1836年3月8日、ハノーファーで音楽家の息子として生まれました。
13歳でピアノ製作所に徒弟奉公に出ましたが、2年後にそれを辞め、マルクノイキルヒェンでカール・フリードリヒ・フィッカーの下でヴァイオリン製作の修行を始めました。
その後、ライプツィヒでルートヴィヒ・バウシュ・シニアの助手として長年働きました。
1862年、ハノーファーに定住し、自身のヴァイオリン製作工房を設立しました。この時代、RiechersはあのHeinrich Heberlein Jr.(ヘバーライン)に多大な影響を与えたとされています。RiechersはフランスのJ.B.ヴィヨームの下での修業経験や、著名なヴァイオリン奏者のJoseph Joachim(ヨアヒム)と親しい友人でもあり、名器についての知識が豊富でした。弟子であったHeberleinはこの恩恵を受けて、音の良い名器のモデルを研究することができ、後々の製作に生かすことができたのだと考えられています。
1872年にはJoachimの依頼でベルリンに移り住み、ベルリン音楽大学専属の弦楽器職人に就任しました。彼はそこでJoachimとその弟子たちのために、楽器の製作やメンテナンスをしました。日本のヴァイオリニスト、作曲家の貴志康一が所有し日本に初めて持ち込んだというStradivari “King George”をメンテナンスしていたのが実はこのRiechersだったのです。
このように、August Riechersはドイツのヴァイオリン職人、製作家としてかなり重要なポジションを占めていたと想像されます。しかしながら、私が不勉強なだけかもしれませんが、この製作家の楽器に出会ったのはこのチェロが初めて。ドイツの場合、Heberleinn(ヘバーライン)にしてもRoth(ロート)にしても、先代の没後に何代もの間工房が受け継がれて行ったケースが多いので、そちらの方が、名前も、楽器もより多く人々に印象付けられていることは否めないのかと思います。
いずれにしましても、製作者を知っているかどうかではなく、1893年という年代で、つくりが良く、音も状態も良いチェロに出会えたということは幸運としか言いようがありません。
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