第63回2024弦楽器フェアが5年ぶりに開催されました
2024年11月9日、10日 東京京橋の明治屋ビル7Fで日本弦楽器製作者協会会員の展示会が開かれました
新型コロナウィルスの感染拡大による休止期間を経て、実に5年ぶりとなった弦楽器フェアの開催ですが、今回は日本弦楽器製作者協会の個人会員のみの参加で、法人会員や外国人の参加はありませんでした。日本人製作家のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロをふんだんに味わえるイベントでした。
会場は明治屋京橋ビルで、ご覧の通りの歴史的建造物です。この雰囲気抜群のビルの7Fホールで弦楽器フェア、日本人弦楽器製作家の製作展示会が行われました。ただ、会場のホールはこの重厚な外観から想像するような、ヨーロッパの石造りの大広間という感じではなく、近代的な会場でした。
この展示会の趣旨として、日本弦楽器製作者協会会長の園田信博氏が極めて重要なことをプログラムに述べられていました。少し長くなりますが、園田氏の言葉を引用させていただきます。
“弦楽器を選ぶとき、人は何を基準にするのでしょうか(中略)楽器は音を第一とすべきなのは誰もが異論の無いことでしょう。音色、音量、響き、レスポンス、低音から高音のバランスなど色々な要素を満たしてくれる楽器に出会えることはこの上ない喜びです。
音は弾いて、聴いて、感じるもの、どこの国の誰が作ったとか、どの時代のものか、どれだけの価格かというような考え、思いや感情が入ると判断を誤ります。多くの演奏家、演奏者が楽器を選ぶときその考えや思いや感情に惑わされ、「楽器は音を第一とすべき」というところから離れて着地してしまっているように見えます。(後略)”
まさに、多くの人々が楽器を選ぶときに迷い込んでしまう罠だと思います。
弦楽器フェア2024 会場の様子
ヴァイオリン、ヴィオラの会場とチェロの会場に分かれました
日本人製作家のレベルが向上しているのが感じられました
今回ガンさんは大変な労作、ヴァイオリン2本とヴィオラ1本、チェロ1本といわゆるクァルテットで出品されました。運搬、搬入も大変ご苦労様でした。
今回の展示会は新たな試みとしてヴァイオリン製作コンテストも開催されました。
それは楽器を製作した職人、楽器を演奏する奏者、そしてその演奏を聴くお客様、それぞれの立場から製作した楽器を審査し、優れた楽器を選び出すというユニークなもので、演奏家はヴァイオリニストの川畠成道氏、聴衆の審査員は事前エントリーした100名のお客様です。
そして、そのコンテストの結果はリューテリアガンのガンさんが見事、川畠さんが選んだ最高音響賞「川畠賞」を受賞されました。
受賞おめでとうございます。
受賞されたのは、ヴァイオリン2台のうちのGuarneri del Gesu Modelの方です。
私も試奏してみましたが、大変力強く、しかし低音には十分な深みがあり、バランスの良い、弾きやすい楽器でした。
同時に出展のヴァイオリン、Stradivari Modelも大変魅力的な外観、音色でしたから、実際に購入しようとされる方は、どちらを選ぶか相当迷われるのではないかと私は思います。
ただ、どちらを選ばれても間違いはありません。明日からでもすぐコンサートに使える一級品です。