バイオリン(ヴァイオリン)販売・専門店・弦楽器サラサーテ・東京(渋谷)から25分

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Kenji Miyagawa 2007

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名器の裏側を知る者のみが到達できる世界(ヴァイオリン製作・修復家 宮川賢治)

ストラディヴァリウス、それは現存する楽器の中で最も高価なもののひとつですが、単なる骨董的価値を超え今もなお最高の音を出し続けています。
それ故、世界中の製作者がストラディヴァリに関する文献を紐解いたり、色々な角度から計測したりと、ストラディヴァリの製作の秘密を何とか探り当てようと努力しています。 それは、ストラディヴァリを目指すにあたって、その『音色』を目標にすることが困難だからです。楽器なのに音色を目標としないというのは、甚だ奇異なことのように思われるかもしれません。しかし、音色は目標にしにくいものなのです。なぜならば、楽器の音色というものは弾き手によって大きく変わってしまうものだからです。
我々がストラディヴァリのヴァイオリンの音を耳にするとき、大部分はヴァイオリン固有の音ではなく、ムターの音であったり、グルミュオーの音であったり、パールマンの音を聴いているに過ぎません。
ですから、製作者がストラディヴァリを 目指すというときはその音にではなく、楽器のフォルム、かたちをまずそっくりに写し取る作業からアプローチすることになるのです。

宮川氏はこれまでも、自らが楽器を修理した体験に基づき、Guadagnini、Pedrazzini そして Antoniazzi モデルのヴァイオリンを製作してきました。今回はストラディヴァリのヴァイオリンの修理体験 があったからこそこれだけのヴァイオリンが作り出せたと言えるでしょう。
まさに名器を裏側から覗くことができたというわけです。
その貴重な体験から、多くの文献や写真集、そして計測データなどでは決して得ることのできない、ストラディヴァリ自身の実際のノミの動きを学んだに違いありません。あの素晴らしい板の隆起はどういう削り方の結果生まれたのか、ストラディヴァリの楽器自身が裏側から語りかけてくれたのです。