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Claudio Testoni 2003 Mantova

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イタリア新作ヴァイオリンと言えばCremona。Cremonaでなければイタリア新作ヴァイオリンとは言えないと思っている方へ。

Enrico Ceruti (1808-1883)以降はCremonaでのヴァイオリン作りは衰退してしまいます。いわゆるモダンイタリーと呼ばれる時代はMilano、TorinoをはじめCremona以外の都市に多くの名工が輩出することとなりました。
Mantova(マントヴァ)もそのうちのひとつ。決して忘れてはならない重要な地名です。それは Stefano Scarampella という偉大な名工を輩出した土地だからです。
Scarampella の伝統はその後Mantova で Gatano Gadda、Mario Gadda と受け継がれていきます。 そしてMario Gaddaの後継者が この Claudio Testoni なのです。
ですから、数は少ないながらCremona以外にも優秀な製作家は存在することを忘れてはなりません。そしてモダンの継承という点においては、Cremonaの新作よりも、そういった土地の新作ヴァイオリンの方がモダンの時代のヴァイオリン特徴を色濃く伝えてくれています。

ニスは近くで見る決して平滑ではありません。刷毛の跡が残っているのです。これはニス塗りが下手とか、手抜きということではなく、そういう考え方、手法なのです。そのため、何か男性的な力強さを感じさせてくれます。
音は輝かしく明るい音。しかし弱音のニュアンスもきちんと表現できます。フォルテしか使えない「鳴らないモダンイタリアヴァイオリン」よりも扱いははるかに楽です。

ところで、Enrico Ceruti 以降途絶えたCremonaのヴァイオリン作りはいつ頃また盛んになってきたのでしょうか?
驚くなかれCremona復興のきっかけを作ったのはあの悪名高きMussoliniなのです。
Mussoliniは実はアマチュアとしてはかなりのヴァイオリンの弾き手であったようで、1937年 ストラディヴァリウス没後200年を記念してCremonaにイタリア国立ヴァイオリン製作学校を創立しました。
その後この学校からは皆さんの良くご存知の Francesco Bissolotti(1929~)、 Gio Batta Morassi(1934~)、 Stefano Conia(1946~)、 Giorgio Scolari(1952~)などの錚々たるヴァイオリン製作者が卒業し、母校の教壇に立つなどして、現在のクレモナ復興の原動力となったのです。
しかし現在日本でのCremonaは単なるブランドと化してしまった感があります。そして、Cremona自身も没個性化したきらいもあります。(もちろんクレモナ製でも良いヴァイオリンはありますが・・・)
そういう状況下では、名前、製作地ではなく楽器の本質を見極めることこそが重要なのです。