ヴァイオリンを選ぶとき・間違いやすいこと・気を付けること・その4

私も楽器を仕入れるときは一人の買い手でもあります。そういう意味では、そのときは皆さんと全く同じ立場であると言えるでしょう。
皆さんと同じ一人の買い手でもある私が日常楽器を選ぶときに気を付けていること等お話していきたいと思います。

ニスの乾燥状態を良く観察しろ

ヴァイオリンの色、ニスの色は楽器の音、音色とは無関係なので、気にしないようにしましょう、ヴァイオリンの色の好き嫌いで楽器を判断しないようにしましょうという話は前回のブログ楽器の(ニスの)色に惑わされるな でいたしました。 

しかし、ニスそれ自体の状態は重要なのです。

新作楽器でもニスはある程度乾かされた状態で届かなくてはいけないのですが、納品を急いだためなのか、あるいは製作者が早くお金が欲しいため?なのかニスがあまり乾いていないまだニスが柔らかい状態で納品されることがあります。

そのような状態で駒を立てますと、ニスが柔らかいために、弦の張力で駒の脚が動いてしまい、駒の跡がズレてしまうということがしばしばおこります。

このような現象が見られるとき、あるいはニスの状態から、駒を立てたらそのようになるだろうことが予測される場合は、駒を立てずに、楽器を吊るすなどしてニスの乾燥を待たなくてはなりません。

ニスの乾燥が不十分で柔らかい状態は取り扱いが難しいだけではなく、音にも悪影響があることが少なくありません。

それは、ニスが柔らかく湿った状態であるということで、それにより板の振動が抑制され、したがって楽器の鳴りが悪くなる、レスポンスが悪い、音量が出ないなどの症状が現れます。

もちろん、このような状態も、ニスが乾いていけば解消されるわけですが、ニスに因りましてはなかなか乾かない、乾きにくい性質のものもあります。

一般的に厚く塗られたニスは乾くのに時間がかかることが多いです。
ニスを厚く塗ると見た目は美しく、高級感あふれるものに仕上がるのですが、厚すぎるニスは楽器の振動板を重くし、振動を抑制する方向、楽器を鳴りにくくする傾向があります。
また、ニスのちょっとした調合の違いで、乾きにくくなってしまい、年月が経っても柔らかいままというニスもあります。このようなヴァイオリンでは

もちろん、厚く塗られた柔らかめのニスを使っていても、音の出来不出来は、本体の材料やその削り方に大きく起因しますので、良く鳴る楽器、低音が深く響く楽器もあります。これは現状鳴っているのであれば、問題はありません。

問題はニスが厚くて乾燥状態がいまひとつの楽器で、それが鳴らない場合です。
ニスの乾燥によって鳴りが改善されるヴァイオリンもあれば、あまり改善されないものもあります。
それは残念ながら完全には予測できません。

と、いうことは、やはり、現状鳴らない楽器は将来鳴ることを期待しては選ばないということです。

 

お肌のお手入れニスの乾燥具合は、ニスの表面を見るとわかる場合があります。
厚く塗られたニスの場合、乾燥が進行することで、楽器の縁の部分から細かい皺のようなものが出来てきます。それが更に乾燥が進むと、全体的に皺がよったり、軽いひび割れのように見えてくる場合もあります。

見た目上は、ニスに皺が無く滑らかで艶がある方がヴァイオリンが美しく見えるのですが、この皺やひび割れを嫌がって避けてはいけません。だって、それはニスの乾燥が進み、これからヴァイオリンが美味しくなる良い時が現れたという兆候なのですから。

お肌は乾燥し過ぎないようにお手入れが必要ですが、ヴァイオリンのニスは乾燥はむしろ良い兆候なのです。
お肌はアンチエイジングが必要かもしれませんが、ヴァイオリンの場合はエイジングはむしろ音を良い方向に進ませることが多いとされています。ですからニスの退色や皺はどちらかと言えば歓迎されるべきことなのです。

 

まとめ

ニスの皺やひび割れは敬遠せず、むしろ良い兆候と有難く思いましょう。

 

 

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