ヴァイオリンを選ぶとき・間違いやすいこと・気を付けること・その3

私も楽器を仕入れるときは一人の買い手でもあります。そういう意味では、そのときは皆さんと全く同じ立場であると言えるでしょう。
皆さんと同じ一人の買い手でもある私が日常楽器を選ぶときに気を付けていること等お話していきたいと思います。

楽器の(ニスの)色に惑わされるな

ヴァイオリンのニスの色の違い

「楽器の色と音は関係あるのですか?」というようなご質問をいただくことがありますが、それは全く関連性はありません。
楽器の色の違いは先ずニスの色の違いに因ります。
ニスの質やその厚み、そして乾燥状態がヴァイオリンの音に影響することはあっても、ニスの色は音には影響しません。
そのニスの色は製作者の意図、好みによって決められていると言って良いでしょう。
同じ製作者でも同じニスをずっと使わず、楽器によって違った色のニスを塗ることも珍しくありません。試行錯誤の過程で色々なニスを試すことは少なくないからです。また、製作者によっては、注文主の色の好みに合わせてニスの色を決めているような場合もあるかもしれません。

製作者が全く同じニスの処方をしたのにもかかわらず、楽器に塗ったら仕上がりの色が前回と微妙に違うことがあります。それはニスには天然の物質も入っているので、同じ処方で作ったとしたとしても作るたびに色が微妙に異なり、全く同じものはならないのです。

また、楽器本体(ホワイトボディ)がすでに太陽光(紫外線)で焼けて少し黄色に色づいている場合と、そうではなく、かなり白っぽい状態でニスを塗るのでは同じニスを塗っても仕上がりはかなり違ってきます。
ニスが木に染み込み過ぎないように予めニス塗り前に行う、目止めと呼ばれる処理によっても塗った後の楽器の色味は変わってきます。

また経年変化によってもニスの色が変わり、楽器の色は変わっていきます。
オールド楽器の持つニスの複雑な味わいは、使用でニスが剥げ落ちた部分をその都度修復し、その補修した部分がまた周りと違った経年変化、色の変化を起こすということで起こります。それが100年、200年という単位で繰り返された結果、えも言われぬ味わいを生むのです。
そこまでの変化ではありませんが、ニスの経年変化は2、3年単位でも起こります。
赤い色素は経年により抜けやすい(褪色しやすい)ので、出来上がってすぐのときは、かなりニスが赤いと思った楽器でも、数年後には色素が抜けて、楽器の色が以前より薄く感じられ、オレンジ色に近づくことは少なくありません。また、色の薄い黄色系統のニスが塗られた楽器は、日光等によりニスの下の木部が焼けてくるので、それとは逆に徐々に色が濃くなったように感じられます。

このように楽器の色はニスや場合によっては塗られる木部の状態によって様々になりますが、もちろん色と音に相関関係はありません。

ですから、最初に色の好みで楽器を選ぶのではなく、先ずは本体のつくりや性能、そして古い楽器の場合は健康状態等によって選別されるべきでしょう。

「私は黄色い楽器はダメなんです」とか「買うなら絶対に赤い楽器」というように色の好みを最初におっしゃるお客様もいらっしゃるのですが、選択肢を狭めてしまうようなことになりますから、良い楽器があったら大変勿体ないですね。
そういう方に限って、気に入った音の楽器が実は嫌いだと宣言した色だったりして、悩んでしまうことがありますから。
でも、昔から言うではありませんか、3日で慣れるって。
ヴァイオリンは楽器なのですから音さえ良ければ、見た目はそう気にならなくなったというお客様が多数いらっしゃいます。

まとめ

楽器の色の好みで最初から選択肢を狭めないようにしましょう。
製作者の意図(ニスの処方)によって色が違っているだけでニスの色と音とは全く無関係です。

 

 

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