ヴァイオリンを選ぶとき・間違いやすいこと・気を付けること・その2

私も楽器を仕入れるときは一人の買い手でもあります。そういう意味では、そのときは皆さんと全く同じ立場であると言えるでしょう。
皆さんと同じ一人の買い手でもある私が日常楽器を選ぶときに気を付けていること等お話していきたいと思います。

裏板の模様(杢)に惑わされるな

ヴァイオリンの裏板の杢の違い

貴方はヴァイオリンの良し悪しを裏板の模様(杢)の出方で決めてはいませんか?だとしたらちょっと考え直して下さい。

裏板は2枚で作る場合と1枚で作られる場合とどちらもあります。しかしながら、どちらが音響学的に優れるか、音が良いかは優劣はありません。と言うよりも、全く同じ条件で、裏が1枚板と2枚板の楽器を作り分けて比較することは不可能なのです。木材という天然の材料を使用しているわけですから、材料となる板は硬さや密度、乾燥の度合などが一枚一枚微妙に違います。また、手工品であれば同じ製作者が同じ時期に作ったとしても、2台を全く同じように作ることはできません。
つまり裏板が1枚であるか2枚であるか、それ以外の条件を全く同一に揃えて作ることはまず不可能なので、たとえ比較したとしても1枚板と2枚板でどちらの方が音が良いかという結論は出せないのです。

余談ですが、表板は99%2枚から作られています。気付かないと1枚のように見えるので、時々「この楽器の表板は2枚板なのですね!」と大発見のようにおっしゃるお客様もいらっしゃいますが、それはごく普通のことなのです。

 

特徴あるヴァイオリンの裏板の杢裏板の場合は木目の目立つものとはっきりしないものとがあります。横に走っている木目は実は年輪ではありません。非常に判りにくいのですが、縦にうねって走っているのが年輪なのです。
比較的わかり易いのは右の画像の楽器です →
(これが表板の木目との大きな違いです。表板の木目は縦に細かく走っているのが見られると思います。)

裏板の木目の模様のことを杢といい、横にはっきりと出るので虎杢と呼んだりもします。
その他、珍しいものとしては鳥目状の模様が出るものもありバーズアイと呼ばれています。

杢が出る理由は楓の幹がぐねぐねと曲がっていて、しかも成長が遅く不規則に育つことで繊維が複雑に交錯するからだと言われております。杢がはっきりと綺麗に見える材料は、やはり数が少ないために高価になります。

 

 

 

ヴァイオリン裏板、板目取りと柾目取りの違いまた、材料の切り出し方によっても、杢の模様の見え方は違ってきます。
左の画像をご覧ください。
左の方の楽器は板目取り(スラブカット)と呼ばれるもので、まるで雲のような杢の出方になります。
一方右の楽器は虎杢がはっきりと出ており、こちらは柾目取り(クオーターカット)と呼ばれます。
音響学的には、杢の有無、杢の出方(切り出し方)によって音の優位差は無いとされています。これも、先ほどの裏板が1枚と2枚とで音がどう違うかという論争と同じく、どちらにしても同一条件で音を比較することができませんから。

ストラディヴァリウスも若い頃は貧乏だったため、杢のはっきりした材料を購入することが出来ず、杢のはっきり出ていない、いわゆる素杢の裏板のヴァイオリンを何台も作っています。しかし、それらも銘器として後世に名を残しています。ですから音には関係ないと考えて良いのです。

 

 

まとめ

裏板が1枚か2枚か。杢がはっきり出ているか否かは音には全く関係ありません。

もちろん、つくり、性能、音、弾き易さ等が全く遜色のない楽器の中で選ばれるのでしたら、好みの裏板の杢のものをお選びください。最初から裏板の杢、模様で選んではいけないということです。
ですが、かく言う私も、この商売を始める前は、かなり裏板を気にしていました。ですから大きなことは言えないのですが・・・・
ヴァイオリン族の特徴的な部位ですし、見ていて妖しさすら覚えるような美しい裏板もありますからね・・・・。

 

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