ヴァイオリンを買う時、証明書や鑑定書は本当に必要なの?・その7

ヴァイオリンを買う時、証明書・鑑定書は本当に必要なの?第7回

前回に続いてヴァイオリン(弦楽器類)の証明書・鑑定書についてのお話、今回は第7回目になります。

製作者本人以外によって書かれた証明書・鑑定書類 について、最後になりますが

C) 製作者の親族(師弟関係にあることが多い) によって書かれた証明書について述べたいと思います

ヴァイオリン製作者は親子、兄弟等、一族が製作者であることは珍しくありません。
イタリアではAmatiやGuarneri、Gaglianoなど、ドイツではKlotz、フランスではBernardelなどは何代も続く製作家ファミリーでした。

モダンイタリア製作家 Sgarabotto 書籍モダンの時代の製作家などですと製作者の死後、未亡人や家族が大切に保管していたという楽器が何台も世の中に出てくることがあります。そのようなときは、証明書というより立派な書籍が世の中に出されることがあります。そういった本に写真付きで載った楽器については真贋はかなりの精度で高いものと思われます。ですから、証明書が付いていないからといって、そういった楽器にわざわざ証明書を付ける必要は無いでしょう。(言うまでもなく、音が良いかどうかは別問題です)
そのような本が出るというのはそう頻繁にあることではありませんが、親子でヴァイオリン製作者である場合など、親の楽器の証明書を子が書いているようなことがあります。こういった場合も身近で製作するのを見ていたり、手元に楽器があったりするわけですから信憑性は高いと見るべきなのですが、親の楽器に比べて子供の方の楽器が劣っているというような場合は要注意です。それは、子供が作った楽器を親が作ったものとして出してしまうことがあるからです。
まさか親子でそんなことはしないだろうと思うかもしれませんが、ファミリーだからこそ、父親の使用していたラベルや焼印などは容易に手に入り、それらを自由に使うことができるわけです。
もちろん、子が製作した楽器の出来が親を超えていたり、親と区別がつかないくらいの素晴らしい出来栄えのものであれば、実際の製作年代はやや相違するかもしれませんが、楽器としては親と同様申し分の無いものと言え、同等の評価をしても良いのかもしれません。

問題は、先に書きましたように、子供の作る楽器の方が、かなり父親の楽器よりも劣るという場合です。自分(子供の方)の作った楽器を何とか高く売ろうと、自分の楽器に親のラベルを貼ったり、焼印を押したりして、父親の楽器として仕立て上げます。そして、その仕上げに親の楽器としての証明書を子が書くわけです。
そうすると、親と子の楽器の製作レベルの違いをすでに知っている人はすぐに見分けが付きますが、証明書の有無だけで楽器の良し悪しを判断しようとしている人は、あっさりこれに引っかかってしまうことでしょう。子供の書いた証明書だから、親族だから、楽器商、製作者の書く証明書よりもむしろ信憑性が高いだろうと想像するからです。確かなものを買おうと、証明書の有無に神経を使ってみても、はなから騙そうとして焼印やラベル、証明書類が工作されているのですから、これではどうしようもありません。

しかし、このようなケースは証明書を見るのではなく、楽器そのものを、見る人が良く見ればわかることです。ですから証明書を盲目的に信用してはなりません。

次回は、ヴァイオリンの鑑定書・証明書についてのまとめを述べたいと思います。

 

 

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