ヴァイオリンの上手な選び方・選定方法・方向性を持った試奏・テイスティング

弦楽器サラサーテの北見です。

「なんでも鑑定団」でお馴染みの中島 誠之助氏の著書に 『骨董の真贋』(二見書房)という本があります。その中に、「鉄人が伝授する鑑賞の鉄則」というものがあるのですが、読んでみますと、ヴァイオリン選びに大いに役立ちそうな事柄が書いてありました。
それで、ここでその内容についてご紹介したいと思います。

各々の項目についてひとつひとつ、中島 誠之助氏の説明に加え、それをヴァイオリンなど手工弦楽器を選ぶ際にどのように応用していったらよいか(私なりに解釈したものを)順次解説していきたいと思います。

 

鉄人、中島 誠之助が伝授する鑑賞の鉄則

「 」内は中島氏の言葉 その後は私なりの解釈、解説です。

第10条 自分の好みのジャンルを極めろ

「これだけは絶対人に負けないというジャンルを作ることです」

 

これは、コレクターや業者を目指されない限り、特に必要無い項目だと思います。

ただ、ご自分の好みの音の傾向がはっきりとわからない場合、ぼんやりとしている場合、それをご自身で知っておくことは楽器を選んでいく上で大変有益だと思います。

赤ワインと白ワインのグラス例えばワインで言えば、好きなのは赤なのか白なのか?赤だったら重いタイプか軽いタイプかどうか?というようなことです。
そして、赤のやや重め~重めが好きだということになれば、そういった味のワインに使われるぶどうの品種はカベルネであったりメルローであったりということになるかと思います。
そのカベルネやメルローを使用しているワインは、フランスが代表的な生産地ではありますが、カルフォルニアやチリ、オーストラリアなどでも同じ品種のぶどうは栽培され、ワインは醸造されています。
そうしますと、もちろん微妙にそれぞれに違いはありますが、同じ品種のぶどうを使えば、フランスでもチリでも味の傾向の良く似たワインが出来てくるのです。
つまり、自分の好きなワインに使用されるぶどうの品種をおさえれば、ワインを選ぶときに、好みから大きくはずしてしまうことはなくなるはずです。

ヴァイオリンについても同じようなことが言えると思います。
ヴァイオリンの音、響きの傾向は、板の厚み(の分布)、隆起の作り方、ニスの厚みなどでだいたい決まってくるからです。ですから、ご自分の好きな音を出す楽器はどういう傾向のつくりなのかを分析し、知っておけば良いのです。

例えば「板はやや薄目で、隆起は高めのような楽器が今まで弾いてみると好みだった」とか、逆に「どうしても好きになれない音、嫌いな音だったのは、どうやらニスが厚めで、板が厚い楽器が多かったようだ」というような自己分析です。

第2条でも解説したように、ご自分が求める音、目指すヴァイオリンの音は、ある固有の製作家の中にしかないのではなく、似た音は様々な国籍の、様々な製作家の中に存在するはずなのですから、ご自分の好きな楽器のパターンをおさえておきさえすれば、製作家名や国籍、価格にこだわらずに探し出すことができるのではないでしょうか。

まずはご自分の好み、嗜好を知ることです。ソムリエ

そのためにはやみくもに試奏するのではなく、しっかりと方向性を持った試奏法、いわば音のテイスティング(比較)をやってみると良いでしょう。

その際は似たような音のヴァイオリンを並べて弾くのではなく、わざと、極端に音の傾向の違う楽器を数台並べて弾き比べてみると、ご自分の好き嫌いが比較的わかりやすくなります。
似たような楽器をいくつも弾いたり、あるいは、何の脈絡もなく色んな楽器を弾いてしまうと、何が何だかわからなくなって、音の印象がまとまらなくなってしまうことが少なくありません。
そういったときの結論は「手工弦楽器というものは色んな音がするということはわかったけれど、果たしてどれが良いのかわからなくなってしまった。」というようなものになりがちです。
それは、ご自分の中にヴァイオリンの音に対しての明確な基準、確かなモノサシを持っているわけではないからです。

ですから、極端に傾向の違う音のヴァイオリンの中から、好きな音の楽器、ご自分の目指す楽器の方向性を探り出し、それを楽器のつくりに落とし込みパターン化し、それに基づき、楽器を選んでいくという過程、プロセスが肝要なのではないかと私は考えます。

私は、弦楽器専門店の仕事とは、楽器をお探しのお客様にそういったお手伝いをする、音のソムリエでなくてはならないのではと思います。
弦楽器サラサーテでは実際、このように ヴァイオリン(弦楽器)のテイスティングをやっていますよ。

 

弦楽器サラサーテでは『間違いの無い楽器の選び方』をご提案しております。