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Primo Pistoni 2013 Cremona

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イタリアの巨匠が作ったというヴァイオリン、すごく高価な楽器を弾いてみたのだけれどあまり良い音とは思えなかった。 果たしてこれが 本当にそんなに凄いヴァイオリンなのだろうか? それとも自分の耳の方がおかしいのだろうか?

解説はこちら

その答えが↓

ようやくこの楽器でイタリア・クレモナの巨匠新作に 相応しい音を実感できました

Primo Pistoni 2013 Cremona

Pistoni については 今さら経歴を語る必要もないかと思われますが、一応おさらいを。

【 Primo Pistoni 】

1957年クレモナ生まれ。1975年クレモナヴァイオリン製作学校卒業。数々の国内・国際製作コンクールに出品し、好成績を修めました。
なかでも、1985年クレモナ国際ヴァイオリン製作コンクール(通称トリエンナーレ)・チェロ部門金賞、ヴィオラ部門銅賞。 1997年同コンクールで見事ヴァイオリン部門金賞はその華々しい経歴の中でも特に輝かしいものでしょう。また、 ルジェーロ・リッチが選んだ世界の18人の現代ヴァイオリン製作者 の一人でもあります。

Pistoni は寡作でもあり、これまでにそう多く楽器を見るという機会はありませんでしたが、この楽器ほどその音に魅了された楽器はありません。

最も特徴的なのがG線の響き方、音の出方です。
ディレイがかかったと言いますか、一旦裏板に回った音が少し遅れてf字孔から出てくるといったちょっと変わった雰囲気なのです。新作楽器でこのような表現をする楽器には初めて出会いました。
ですから、これまで普通のイタリア新作の音に慣れている方には違和感があるかもしれません。でも、私はコチラの方が、正統的なヴァイオリンの音、ヴァイオリンの真髄を突いていると思います。
もちろん新作楽器らしい輝かしさ、フレッシュさといったものも中高音域には充分みられるのですが、しなやかで優美というのがこの楽器の一番のチャームポイントなのではないでしょうか。

ですから、よくあるイタリア新作やモダンを弾くような強めの弓ではなく、少し柔らかめのしなやかな弓で弾いてあげたい。そのような楽器だと思います。2013年作でこのような音が出るとすると、やはり楽器の音は年代だけでは無いと思わせられます。

楽器の材料、つくりからくる圧倒的な存在感と、稀にみる美音とを兼ね備えた、まさにこれこそが巨匠の作と言える逸品なのではないかと私は思います。

P.S.
その後 Pistoni作の別のヴァイオリンを2台ほど見たり、弾いてみましたが、この2013年のような雰囲気の音、私の琴線に響くような音は出せませんでした。今さらながら、ヴァイオリンには個体差があること。巨匠、名人とされる製作家でもそれは当たり前の事なのだと実感いたしました。