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ヴァイオリン(弦楽器)弓の選び方について(実践)

第8回です。

今回からいよいよ弦楽器の弓選びの実践です。

【良い弓の条件 ハード面からは】

1)良い材料(弾性、密度、耐久性等)

2)弓の削り方 (テーパー、細さ)

3)弓の反り具合 (カーブ)

にまとめることができると思います。

1)については、スティックの部分にフェルナンブーコ材を使用していること。 フロッグは黒檀でできていることが最低条件でしょう。
その上でフェルナンブーコ材の良し悪しになるわけですが、 材料の良し悪しは2)の削りとも密接な関係があります。
弓のテーパーや細さは、材料が良ければ細く削っても強度が維持できるので、 比較的細く仕上げることができるのです。 高価なオールドボウに、スタイルが惚れ惚れするようなものが沢山ありますが、 それは材料の良さに起因するのです。 材料があまり良くない場合は、強度をかせぐため、 どうしても太いままにならざるを得ません。
そして、材料の良し悪しは価格に大きく反映してくるのです。

したがって、価格が安いのに細くできた弓は、見た目は良くても 一般に強度が不足しがちになります。 このような弓は弾いてみると、ふわふわして安定感が無く感じられます。 ですから、低価格品の弓の場合は、見た目が多少悪く、持ったときに多少重く感じられても、 太目で、がっちりしたものを選ばれた方が無難です。

3)についてはもともと後天的なものです。 弓の毛を緩めたとき、真ん中付近の毛がスティックに付く状態が 正しい反り具合です。

弓は、木を削って細くしてから熱を加えて、曲げていきます。 ですから、長い間には反りが元に戻ることも有るのです。 反りが戻ると弓の毛の張りがうまくいかなくなります。 張っても張っても弾きにくく、必然的に力を入れて、弦に弓を 押し付けるようになってしまいます。

よく子供さんの弓でこのように、反りが無くなった状態の弓をよく見ます。 上記のように、このような状態では弓の毛をいっぱい張って、弓を弦に強く押し付けないと 音が出てくれません。 このような状態では余計な力を入れるばかりで、いくら練習しても上達が見込めないのは お分かりになると思います。

反りのなくなった弓は、再度熱を加え反りを入れ直すことができます。 ただ、節があったりすると反りを入れ直すのが難しい場合もあります。 節の部分から折れてしまうこともあるからです。 また、材料が良質でないと反りを入れ直しても弾き易くならない場合もあります。 反りの入れ直しは弦楽器工房にご相談下さい。

さて、弓選びというと、まず重量を気にされる方がいらっしゃいます。 弓の重さは、ヴァイオリンでは58g~63gで、 重さを計ってみると持ったときの感覚と 実測値が意外と一致しない場合が多いのです。 それは、木の密度が高くしっかりした弓は、持ったときの感覚が 重めに感じる場合があります。この辺が測定器やコンピューターには 真似のできない人間の感覚の鋭いところでしょう。
また、弓は長いですから、先が重めだと重い弓に感じますし、 元が重いと軽い弓に感じたりもします。 ですから実測の重量の重い軽いではなく、持ったときのバランスが大事なのです。

【良い弓の条件 ソフト面からは】

1)弾き易い

2)飛ばし易い

3)発音が良い

4)ダイナミクスの変化がスムーズ

5)雑音が少ない

6)弦に吸い付くような感じがする、安定している

7)無理なく音量が出る

がチェックポイントになります。

よく弓を試すとき、速いパッセージで2)だけをやられる方がいらっしゃいますが、 音質のチェックにはむしろ遅い曲を弾く方が良く分かります。
特に5)などは、G線をゆっくり弾くと解かり易いと思います。
4) 6)が良い弓は、弾いていて自分のやりたいことが100%楽器に伝わる感覚がいたします。

勇気を持ってご自分の感覚でハード面、ソフト面をチェックして見てください。

次回は11月中旬ごろの更新予定です。 弓の話題について更に続けたいと思います。