バイオリン(ヴァイオリン)販売・専門店・
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松下則幸のヴァイオリン Asagheseの由来について

私が生まれたのは兵庫県朝来(あさご)町。

兵庫県のほぼ中心に位置しJR姫路駅から播但線で約2時間。
新井(にい)駅で下車すると小さな無人駅に人の少ない商店街 がまず目につきます。
私の実家はそこから車で約15分程のところ、佐嚢(さのう)谷という谷間にあり ます。

朝来町の名物は八代というところに茶畑があり、そこでとれる「朝来緑」と呼 ばれるお茶、そして岩津というところでとれる岩津ねぎ。
子供のころからあたりまえのようにあったものですが故郷を離れている今ではとても懐かしいものになっています。
私はここで高校を卒業するまで育ちました。

故郷を離れて 9年。
東京で5年過ごして現在はクレモナに住んでいるわけですが、やはり生まれ故 郷にしかない雰囲気というか、何か言葉に表せないものがあり、 田舎に帰るたびに「やっぱり自分は朝来の人間なんだな。」と思います。

私の楽器の ラベルに書いてある「Asaghese」(Asagoで生まれた人)という言葉もそういう気持 ちからきています。
あのストラディバリも自分のラベルに「Antonius Stradivarius  Cremonensis」(ラテン語)と入れており、やはり自分の町クレモナを愛していたのだと思います。

この私の町Asagoという文字を何とかイタリア語のそれにできない かと当時通っていた語学学校の先生に聞いてみると「あなたこれは間違っていますよ。これはAssagoでしょ。」と言い出すのです。最初何のことを言っているのかわからなかったのですが、よく聞いてみるとミラノ県内にAssago市というところがあるというのです。

だからそこで生まれた人はAssagheseになる、と言われました。そのあとAsagoは日本にある私の生まれた場所だと説明すると、何という偶然なんだと驚いていました。
確かにイタリア語のほとんどはローマ字読みなのであってもおかしくない ことだったのですが、イタリア語はアルファベットを21文字しか用いずJKWXYは使 いません。それを考えるとやっぱりすごい偶然だったなとあとになって思いました。
そして先生もそれなら、当然Asagheseになると言い、ラベルにこの言葉を使うことを決めまし た。

しかしバイオリンはクレモナで生まれたもの。バイオリンに関してはクレモナの伝統をしっかりと吸収しています。
そしてこれからも更によい楽器を作ることを目指 して日々製作に打ち込んでいきたいと思っています。

松下則幸

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