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ヴァイオリンを選ぶとき・間違いやすいこと・気を付けること・その7

私も楽器を仕入れるときは一人の買い手でもあります。そういう意味では、そのときは皆さんと全く同じ立場であると言えるでしょう。
皆さんと同じ一人の買い手でもある私が日常楽器を選ぶときに気を付けていること等お話していきたいと思います。

ヴァイオリン選びの正解は数学とは違い、たった一つだけとは限らない

正解は一つとは限らない

 

皆さんは、ヴァイオリンを選ぶ際にご自分にとって最適の1台、最高の1台を選ぼうとしてはいませんか?

もちろん、そのお気持ちは痛いほどわかります。
ヴァイオリンは決して安くは無い買い物ですし、一生のうちにそう何回も買い替えるものではないからです。失敗してはいけない、間違いがあってはいけないとお思いになるのは当然でしょう。ですから、誰しもが最適の1台、最高の1台を選ぼうと、必死になられるのは致し方ないことなのでしょう。ですが、その考えはちょっと違っています。

それは、良い楽器、ご自分に合う楽器、ご自分が好きと感じられる楽器が世の中に1台しか無いとは限らないからです。数学と違って、ヴァイオリンの場合の正解は一つとは限らないからです。

そもそも音楽というものは理論、理屈に支配されている部分もありますが、どちらかというと感性、感覚に大きく支配されていると思います。
楽曲の解釈、演奏において、客観的な演奏を目指し、譜面に忠実にとか作曲者の意図をくみ取った解釈などといっても演奏には幅が生じます。正解がたった一つということはないでしょう。
例えば、モーツァルトの協奏曲第3番の演奏の正解が一つしかないというようなことはありません。また、ご自分の好きな演奏、良いと思える演奏が一つしか無いということもないと思います。
グリュミオの演奏も、オイストラフの演奏も、ヒラリー・ハーンの演奏も、そのどれもが素晴らしく、またどれも甲乙捨てがたく好きだということの方が普通だと思います。

このように演奏の場合、どれも良い、ひとつには絞りきれないという、ある程度曖昧さ、許容範囲を残した状態の方が健全な状態だと言えます。
一方、演奏における不正解というものは厳然と存在します。そこには曖昧さはありません。
それはどういったものかと言いますと、音程、リズムが不正確な演奏、逸脱した様式感、恣意的な解釈による演奏のようなものです。

これは楽器についても全く同様のことが言えると思います。ある一定の水準以上の楽器の場合は、どれも正解であって、この中で時間をかけて迷ってみても結論は出ません。
一方、不正解、つまりこれはまずい、選んではいけないというヴァイオリンははっきりとわかります。
ですから、一つではない正解を何とか一つに絞ろうとやっきになるよりも、不正解を確実に探し出し、排除することが、楽器の選定において最も大切なことと言えるのです。


まとめ

ご自分にとって最適なヴァイオリン(正解)は一つとは限りません。
ですから無理に一つに絞り込む必要はありません。

それよりも、ご自分にとっての不正解といえるヴァイオリンを
確実に排除することに最大限の注意を払いましょう。

 

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