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ヴァイオリンの選び方-中島 誠之助『骨董の真贋』を参考に

人気TV番組「なんでも鑑定団」でお馴染みの中島 誠之助氏の著書に 『骨董の真贋』(二見書房)という本があります。
その中に、「鉄人が伝授する鑑賞の鉄則」というものが あるのですが、それが骨董品のみならず、ヴァイオリンなど手工弦楽器類を見極める際、選ぶ際に大いに役立ちそうです。それで、ここでご紹介したいと思います。

各々の項目についてひとつひとつ、中島 誠之助氏の説明に加え、それをヴァイオリンなど手工弦楽器を選ぶときにどう応用したらよいか(私なりに解釈したものを)順次解説していきたいと思います。

 

鉄人、中島 誠之助が伝授する鑑賞の鉄則

「 」内は中島氏の言葉 その後は私なりの解釈、解説です。

第 1条  作品が生きているかどうかを感じる

「生きている作品というのは、品物の中に作者の血が流れているような印象を受けるものです。
贋作や大量生産されたもののは、作品が生きていません。」

 

活きの良い魚
ヴァイオリン等、手工弦楽器の場合は、中島氏が扱うような古美術品とは違い、贋作と言っても悪意の無いもの、つまり、良いものを作らんが為に銘器をコピーしたというようなものが沢山あります。
ですからこれらは「本物」では無いのですが、「贋作」として忌み嫌われ、切り捨てられてしまうような性質のものではないと思います。

弦楽器職人の修業とはまずは師匠の楽器を真似て忠実に作る、師匠の楽器を再現することから始まります。そして、ひいては昔の銘器を上手に真似て、忠実にそれを再現することができるようになるのです。逆に言えば、それができない職人は上手い職人とは言えないのです。
ですから、これらのコピーものは十分に「生きている作品」と言えましょう。

量産品の場合は確かに中島氏が言うように、作者の血、魂を感じることはありません。

マクドナルドのハンバーガーに料理人の息吹、魂を感じることはないでしょう。ですから、量産品は作品が生きていないというのは、まさにその通りだと思います。

「ドイツの××というメーカーと、△△というメーカーだったらどちらが良いでしょうか?」というようなご質問をいただくことがあります。

そのようなときは「どちらも量産品で本質的な違いは無いし、私だったらどちらも買いません」というようにいつもお答えしています。それは、マクドナルドとロッテリアを比較してどちらが良いかというような話と同じだからです。どちらも、似たような製法、材料で手間をかけずに低コストで作っている。そこには作り手の意気込みや魂を感じることはありません。だから選択には値しないのです。

もちろん、完全な手工品でも魂が抜けたような楽器、主張が全く感じられないヴァイオリンというものはあります。また、技術が未熟なために、ヴァイオリンの本質が表現し切れていない楽器、主張はあるが独りよがりなだけというような楽器もあります。
そのような楽器は量産品とは違い、人の手は感じさせてくれます。しかしながら、見た時に心を打つようなことはありません。また、見ていて気持ちが良いというような感覚を持つこともありません。

作品が生きているような感じとは、何とか良い楽器に近づこうという製作者の意気込みが伝わってくるかどうかということ。そして、過去の銘器を思わせるような全体の雰囲気、見ていて気持ち良いというものが感じられるかどうかなのではないでしょうか。

 

 

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