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イギリスの楽器は現在の日本ではなかなか見る機会が無いのですが、写真集などで見てみますと実に素晴らしい楽器が沢山あります。それは、英国は歴史的にストラドやデルジェス、それに準ずるイタリアの名だたる銘器たちが集まる国だったために、多くの製作家に良い見本を与えたからです。
一方フランスの影響を強く受けている楽器も多くあります。実際、Hill商会は、商業的な意味合いからかもしれませんが、一部の楽器についてはフランスに製作を依頼していました。
この楽器もパーフリングなどを見ると“ガン-ベル”に代表されるフレンチヴァイオリンの影響が感じ取れます。しかし一方隆起はフレンチよりももう少し高め。むしろイタリアンに近いように見えます。
そういった混血的な楽器が存在するというのもイギリスのひとつの特徴なのだと思います。
それはともかく1900年に作られた(年代的には非常に良い)モダン楽器がこのお値段というのは注目です。言うまでもありませんが、それはイタリア製でないからそういった値付けになるわけです。
もしこの年代のイタリア製だったら少なくとも800万円〜1500万円にはなるでしょう。でもモダンイタリーの場合、鳴らしにくい(鳴らない)楽器が少なくありません。「こんな高い値段なのにこんな音しかしないの?」と思われた経験がどなたにもきっとあるのではないでしょうか。そういったモダンイタリーの場合、大きな音は何とか様になりますが、小さい音や低い音の響きが貧弱なので、どこか一本調子な演奏になりがちです。
これはモダンイタリーの特徴である厚めの板やニスに因るものだと私は考えております。(新作イタリアンにもその特徴が引き継がれているものがあります)
同時代のイタリア以外の国籍の楽器はモダンイタリーに比べますと板やニスをそう厚くしておりません。それが鳴らしやすさや音色の深みを生んでいるのだと思います。
この楽器について言えば、低音の豊かさと高音の輝きが上手くバランスしております。また弱音のニュアンスが上手くコントロールできますので、きっと演奏表現の幅がぐんと広がることと思います。
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