インテルメッツォ 第14回

インテルメッツォの第14回です。

今回は皆様からのお問い合わせの一番多いテーマ、 初心者の方はどのような楽器をもつのが良いかです。

お問い合わせを見る限りでは、 多くの方は初心者用の楽器についてこう考えられています。

1)初心者用の楽器は、初心者のニードに応えた 初心者に弾きやすく、練習しやすい楽器である。

2)初めから良い楽器を持っても、初心者にはその良さが引き出せない。

良い楽器は初心者には鳴らせない。 良い楽器は弾き手を選ぶ。
だから、良い楽器を始めから持つことは無駄である。 そして、楽器は上手くなって(違いが引き出せるようになって)から 良いものに買い換えるので充分という考えの方が大半を占めます。

これは、ヴァイオリンを教える先生に聞いても同じことをおっしゃるかも しれません。

でも、本当にそうでしょうか?

確かに1)は家電製品など工業製品にはあてはまります。
入門用に機能を省き、低価格と、操作の簡便性をうたったもの が確かにあります。 上級者用は性能が上がる反面、多機能で操作が複雑になるのです。

しかし、弦楽器の場合は3億円の楽器も10万円の楽器も基本構造(機能)は 全く同じです。
初心者用の楽器は、省力化、量産化によってコストダウンをはかったに 過ぎないのです。

弦楽器は、自動車のように、機械化、量産化による恩恵を被ったかというと、 残念ながらそうではありませんでした。
それが証拠には、未だに手作りの弦楽器、しかも200年〜300年以上も前のものが 単なる骨董的価値からのみではなく、現役選手として最高のものとして評価されています。

弦楽器は構えかたができるようになると、まず開放弦という、 どこも指で弦を押さえないで出す音を練習します。 この音は、また楽器の素(す)の音でもあります。

実はこの開放弦が、各々の楽器の性格を一番良く現します。 開放弦が良く響くのは、良く作られた楽器でもあります。
残念ながら、量産品の低価格の楽器では、ヴァイオリンの音は出ますが 開放弦の響きが充分ではありません。 これは、実際に、量産品の楽器と手工製の楽器を 開放弦だけでも比較して聴いていただければ、どなたにも その違いはおわかりになると思います。

ピアノは鍵盤を押せば音が出ます。ただ音を出すということにおいては猫でもできます。(ピアニストの方ごめんなさい) しかし、弦楽器はそうはいきません。 ですから、初心者の方はできるだけ音の出しやすい、響きやすい楽器を選ばなければならないのです。

初心者の方が最初に習う開放弦の響きが貧弱では、その後の学習が上手く行くはずがありません。

幼児はお母さんの言葉を聴いて言葉を学ぶと言います。 ヴァイオリンもそれと同様、最初に楽器を通して出した音の響き、最初に聴いた自分の音の響きが、その人のその後の楽器人生の音を左右するのです。


確かに初めのうちは、良い楽器を使ってもその楽器の性能を充分に使いきること はできないかもしれません。だからといってそれが無駄になってしまうわけではありません。
楽器に、良い音というものを、毎日、無料でレッスンしてもらえるのですから。
言わば、良い楽器は第二の教師なのです。


以上のことより、初心者の人も初めから良い楽器を持つことの意味は 十分にあるのです。

次回も引き続きこのテーマでお話ししたいと思います。 次回の更新は2月10日ごろを予定しております。

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