コンマスの実力を見よ!
ソリストも真っ青!オケをやりながらだって、これぐらいは弾けるぞ。

ヴィエニャフスキ ヴァイオリン協奏曲第2番 BIDDULPH LAB 164
サンサーンス ヴァイオリン協奏曲第3番、メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲

ヴァイオリン独奏:ミッシェル・シュヴァルベ
指揮:スタニスラフ・スクロワチェフスキ他 スイスロマンド管弦楽団


ミッシェル・シュヴァルベ

ミッシェル・シュヴァルベ(1919〜)

ポーランド生れの名コンサートマスター。
ワルシャワ音楽院でモーリス・フレンケルに師事した後、パリ音楽院でジョルジュ・エネスコ
やピエール・モントゥー、ジュール・プーシュリらの教えを受けた。
この間の1935年にはヴィエニャフスキー国際コンクールで入賞している。
1944年〜46年スイス・ロマンド管絃楽団のコンサートマスターをつとめ、その後
シュヴァルベ弦楽四重奏団を主宰した。
1957年にカラヤンの招きでベルリンフィルのコンサートマスターに就任。

その後の活躍ぶりは、皆さんの知るところだと思いますが、
まさにカラヤンベルリンフィルの黄金時代を支えた名コンマスと言えるでしょう。
その彼が1960年から1961年にこんな録音を残しておいてくれました。

放送局の録音で、音は悪く、オケ(古巣スイス・ロマンドにもかかわらず!)も最悪ですが、
ソロは最高です。

誰よりも濃厚でありながら、誰よりも切れ味が鋭い。そのような演奏なのです。

おそらく黙って聴かされたら、「べらぼうに上手い奏者」ということはわかっても奏者の名前が上がってこない。

3楽章のスピッカートを聴く限り、まるでハイフェッツのようですが、1楽章を聴くとこんな濃厚な表現はハイフェッツではまず有りえない・・・

思えばヴィエニャフスキーはシュヴァルベにとって、故郷の作曲家。この名演はそういった“血 ”の成せる技でもあるのかもしれませんが、
決してそれだけではないはずです。ヴァイオリニストとしての確かな技術、そして、表現能力の高さが、聴くものの耳をとらえて離しません。
どうしてもっと数多くのソロ録音を残しておいてくれなかったのかと思わざるを得ません。

ところで、コンマスと言えば、オケの中でもちろん難しいソロをこなさなければなりません。

ソロが長かったり、印象的なものをざっと挙げてみると、「英雄の生涯」、「ティルオイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」、「シェエラザード」、
「白鳥の湖」 、「ブラームスの交響曲第1番」など。
これらを涼しげに弾きこなし、聴衆はもとよりチェックの厳しい同僚の耳を納得させられなければ、 ボスとして、コンマスの席に座り続けることはできないのです。

また、コンマスには、オケ全体を把握し、指揮者とオケとの連携を取るという役目があります。
もし、本番中にアクシデントがあった時などは、コンマスが中心になって瞬時にオケをまとめなければならないのです。

その為には、自分のパートや弦楽器のパートだけではなく、スコア(総譜)全体が 頭の中に入っていなければなりません。

ソリストも膨大な協奏曲のレパートリーを抱え、更にソナタや小品もこなさなければならないので大変なのでしょうが、
コンマスはベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキー、モーツァルトなどの交響曲や 管弦楽作品など 諸々の作品に精通し、
その総譜を勉強していなければならないのです。 これには実に多くの時間、労力を必要とします。
しかし、このことが作曲家の足跡を知り、様式や作風を知るための絶好の勉強の場となっていることは間違いはありません。

そういった、実際にソロで演奏する曲と直接は関係無いところでの努力、研究が、コンマスのソロには一杯詰まっているのです。
それをじっくりと味わってみましょう。


<参考>

その他 おすすめコンマス ソロCD

ウィーンフィルのコンマス達としては、ニューイヤーコンサートでお馴染みだったウィリー・ボスコフスキ-(1909〜1991)
山の滑落事故で92年に亡くなったゲルハルト・ヘッツェル(1940〜1992)、現役のコンマスとしてはライナー・キュッヒル(1950〜)
などが、ソロCDを残している。もちろん、彼らは優秀な室内楽奏者でもあるので、おびただしい数の室内楽の
録音も残している。

アムステルダム・コンセルトヘボウ管絃楽団のコンマスヘルマン・クレバース(1923〜)もヨーロッパを代表する
コンサートマスターの一人である。
最近は名教師として、数多くの逸材を育てあげている。

カール・ズスケ(1934〜)ベルリン国立歌劇場のコンマスを経て、現在はライプチッヒ・ゲヴァントハウス管絃楽団の
コンマス。N響にも客演コンマスとしてしばしば登場。彼も室内楽奏者としての録音が多い。

安永 徹(1951〜)はベルリン芸術大学でシュヴァルベに師事。83年からベルリンフィルのコンマスとなる。
世界一のオーケストラのコンマスに日本人が就任する。これは当時かなりの“事件”であった。

四方恭子(1957〜)は1990年からケルン放送交響楽団のコンミスをつとめる。
ドイツのオケでコンマスをつとめた日本人と言えば、豊田耕児(ベルリン放送響)、浦川宜也(バンベルク響)、
岡山 潔(ベートーヴェン・ハレ管)、堀 正文(ダルムシュタット歌劇場管)
らがいる。 その中で、ドイツでの現役は上記の安永と四方だけである。これからも長く頑張って欲しいものだ。

矢部達哉(1968〜)22歳で東京都交響楽団のコンマスに就任した彼も、今年でもう10年目を迎える。
あぐりのヒットと甘いマスクがファンを急増させたことと思うが、彼の芸風はいたって着実で良い意味で地味
である。
都響との10年の経験が彼にとってかけがえの無い財産となっていることは想像に難くない。


ボスコフスキー

ヘッツェル キュッヒル クレバース
SGR-8238
モーツァルト 協奏曲第1、4番
ボスコフスキー
(ウィーンフィル 故人)
PCCL-00175
ブラームス ソナタ全曲
ヘッツェル(ウィーンフィル故人)
PLCC-580
クライスラー 小品集
キュッヒル(ウィーンフィル)
462 087-2
ブラームス、ブルッフ 協奏曲
クレバース
(アムステルダムコンセルトヘボウ)
       
ズスケ 安永徹 四方恭子 矢部達哉
TKCC-70426
バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ全曲
ズズケ(ゲヴァントハウス管)
PCCL-00244
フランク、 ヤナーチェク ソナタ
安永 徹 (ベルリンフィル)
ART-3024
イザイ 無伴奏ソナタ全曲
四方恭子 (ケルン放送響)
SRCR-1616
小品集(クライスラー他)
矢部達哉 (東京都響)

もちろんソリストの中にもオケのコンマス経験者は沢山います。ここでは、演奏活動の大半をオーケストラと供に活動している方たちに登場していただきました。





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